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労働審判とは?

労働者と会社との間で紛争が発生した際、裁判官と労使の専門委員で構成される労働審判委員会が、紛争事件の審理(紛争における争点の確認や証拠調べ)を行い、調停(話し合いによる紛争解決)や労働審判(実情に即した解決をするために必要な審判)を行う制度です。【労働審判制度の制定の経緯及び運用状況】

労働審判手続きの流れ


  • 1.申立て
  • 紛争が発生した際、本件紛争(事件)を管轄する裁判所へ労働審判の申立てをします。例えば、賃金請求事件であれば、現在働いている事業所を管轄する地方裁判所へ、解雇事件であれば、解雇されたときに働いていた事業所を管轄する地方裁判所へ申立をすることが出来ます。

    申立書には、以下のことを記載します。なお、手続きを迅速に進めるため、申立書には事案の状況を把握出来るよう詳しく記載する必要があります。
  • 申立ての趣旨および理由、なぜ申し立てるに至ったか等、具体的な事実を記載します
  • 予想される争点および当該争点に関する重要な事実
  • 予想される争点ごとの証拠
  • 当事者間においてされた交渉(あっせんその他の手続きを利用した場合にはその手続きでの経過を記載)
  • その他申立に至る経緯の説明
  • ※労働審判手続きは、特別の事情がない限りは、3回以内の期日で審理を終結させなければならないため、事前準備がよくなされて、各期日が充実した手続きとなることが求められます。

    そのため、主張書面は第1回期日までにすべて提出し、「やむを得ない事由がある場合」には第2回期日までに提出することになっています。

    相手方の答弁に対する反論及びそれに対する再反論は期日に口頭で行い、書面については補充的に提出する形を取っています。

    早期に主張書面を提出し、追加的な主張・立証活動を抑制することで、迅速な事件処理が可能となっています。
  • 2.期日指定・呼び出し
  • 申立がなされたら、裁判所は申立人が提出した資料(申立書・書証・証拠説明書等)を相手方に郵送し、第1回期日を調整します。

    なお、第1回期日は申立がされた日から40日以内に労働審判官が指定するとされています。通常訴訟より労働審判手続きの方が申立から期日までの間が長く設定されていますが(通常訴訟の場合、訴え提起の日から30日以内に期日指定されるとされています。)、その理由は、労働審判手続きは、主張書面は原則として第1回期日までに提出しなければならず、それ以降はやむを得ない場合を除き認められないことから、十分な主張・立証が出来るよう準備期間を長く設定したとされています。
  • 3.答弁書の提出
  • 相手方は定められた期限までに答弁書・書証・証拠説明書を提出しなければなりません。
    答弁書には、以下のことを記載します。
  • 申立の趣旨に対する答弁
  • 申立書に記載された事実に対する拒否
  • 答弁を理由づける具体的な事実
  • 予想される争点及び当該争点に関連する重要な事実
  • 予想される争点ごとの証拠
  • 当事者間においてされた交渉
  • なお、⑤の証拠のうち証拠書類については、答弁書に添付しなければなりません。また、裁判所には答弁書を労働審判官1名と労働審判員2名分として、写しを3通提出します。申立人に対しては、直接送付します。
  • 4.第1回期日
  • 第1回期日では、労働審判委員会は、当事者や関係人から事情を聴取したり、証拠書類を調べます。そして、紛争に至った経緯や状況を把握し、紛争の争点を整理します。

    事件によっては第1回目期日から労働審判委員会が調整を試みることも少なくありません。労働審判委員会は、調停案を双方に提示して調停の成立を目指します。調停が成立した場合には裁判上の和解と同一の効力をもち、第1回期日で紛争解決となります。

    調停が成立せず審理を終結させることができないときには、次回期日を指定し、次回期日までに双方が準備すべきことを確認します。
  • 5.第2回期日・第3回期日
  • 第2回期日では第1回期日で整理・把握された内容をさらに検討し、また、追加で提出された書面の内容把握・証拠調べ等を行います。

    第2回期日以降は、調停の準備等も行い、調停による解決が見込まれるときには調停案を双方に提示して調停の成立を目指します。

    第2回期日でも審理を終えることができないときは、第3回期日を指定します。

    第3回期日でも、必要がある場合には証拠調べを行い、調停作業を行います。調停がまとまらない場合には、審理を終結して審判を行います。
  • 6.審判
  • 労働審判委員会は、調停による解決に至らないときは審判を行います。労働審判は、期日間で整理され認められた双方の権利関係や状況等、労働審判手続きの経過を踏まえて行われます。

    労働審判委員会が出した労働審判に異議がない場合には、労働審判は確定し、裁判上の和解と同一の効力をもち、紛争解決となります。

    労働審判に異議がある場合には、2週間以内に異議の申立てをすることが出来ます。その場合には、労働審判はその効力を失い、労働審判手続申立時に訴えの提起があったものとみなされ、通常訴訟に移行します。




労働審判制度の制定の経緯及び運用状況

  • 1.労働審判制度制定の経緯・背景
  • 経済情勢の悪化により雇用形態に変化が起きたため、労働紛争が増加してきました。当時は、都道府県労働局長による助言・指導および紛争調整委員会によるあっせん等の手段もありましたが、訴訟を提起する場合も多数ありました。

    しかし、裁判所に訴訟を提起するとなると、大きく2つのデメリットがありました。

    まず第1に、時間がかかるということです。労働紛争において民事訴訟を提起した場合は、紛争解決まで約1年かかるといわれております。そのため、労働者が職場復帰を求めている場合や、賃金の支払いを求めている案件では、労働者は紛争の早期解決を望んでいるため、紛争が長引けば労働者の負担が増えてしまいます。

    第2に費用がかかるということです。民事訴訟を提起する場合、弁護士費用とは別に申立手数料などが必要となります。かかる費用を捻出できないため、申立てが困難であるという事情もありました。

    以上の背景から、労働紛争を迅速かつ的確に解決する制度が求められていたため、平成18年4月から労働審判制度がスタートしました。
  • 2.労働審判の運用状況
  • 平成20年度の労働関係民事通常訴訟事件の新受件数は2,441件であり、労働審判事件の新受件数は2,052件でした。かかる新受件数を見ても、労働審判制度の利用は年々増加してきているといえます。

    また、労働審判既済事件の処理状況は、調停成立が69.3%、労働審判が20.1%(このうち異議が申立てられた割合は61.0%)となっており、労働審判が申立てられた場合、約80%が労働審判手続にて解決されたといえます(一般民事調停既済事件の解決率は約50%です)。